【内部統制ラボ #033】期末に不備が残ってしまった場合の対応

 

今回の主な内容

  • J-SOXにおける金額的重要性の考え方
  • 重要性がある不備・ない不備で異なる対応
  • 期末までに是正できなかった場合の評価
  • 財務諸表監査で発見された内部統制の不備への対応

期末に不備が残ってしまった場合の対応

J-SOXにおける内部統制の不備の重要性は、「金額的重要性」と「質的重要性」の両面から判断します。今回は、このうち金額的重要性を中心に取り上げます。

広義の内部統制の不備について財務諸表への影響金額を算定した後、その金額をもとにJ-SOX上の重要性を判定します。金額的重要性を判定するための基準値は、一般に連結税引前当期純利益の概ね5%程度が一つの目安とされます。実務上は、3期平均を使用したり、特殊要因を除外したりすることも考えられます。

重要性がある場合・ない場合

発見された不備の影響額に金額的重要性がある場合には、その業務プロセスをJ-SOXの評価範囲に追加することが考えられます。そのうえで、是正対応を進めながら、是正後のプロセスについて文書化し、整備評価・運用評価まで実施することが基本的な対応となります。そして、期末日までに是正できなかった場合には、「開示すべき重要な不備」に該当することになります。

一方、発見された不備に金額的重要性がない場合には、必ずしもJ-SOXの業務プロセス評価範囲に追加する必要はありません。ただし、評価範囲に入らないからといって対応不要になるわけではなく、不備の是正状況を確認することは必要です。仮に期末日までに是正できなかったとしても、影響額に金額的重要性がない場合、J-SOXの結論としては「有効」となります。この場合、3点セットの作成や整備・運用評価、監査法人の監査対応などは通常求められませんが、是正状況については、経営者、監査役等、監査法人に対して説明が必要となることがあります。

財務諸表監査で不備が見つかった場合

実務上、特に対応が難しくなりやすいのが、財務諸表監査の過程で内部統制の不備が発見されたケースです。

財務諸表監査で発見される不備には、不正だけでなく誤謬も含まれます。例えば3月決算の会社では、4月から5月にかけて財務諸表監査が行われ、その過程で財務諸表の誤りが指摘されることがあります。経理部門で修正仕訳を行えば、財務諸表そのものは適正になります。

しかし、J-SOXの観点では、期末日時点で会社の内部統制によってその誤りを防止・発見できなかったという事実が残ります。J-SOXの評価基準日は期末日であるため、この点は内部統制評価上も検討が必要になります。この場合も、基本的には不備の影響額が重要性の基準値を超えているかどうかによって結論が分かれます。重要性を超えていれば「開示すべき重要な不備」、超えていなければ「内部統制は有効」という結論になります。ただし、重要性を超えていない場合でも、経営者評価として、不備の影響額、発生原因、是正対応方針などを整理し、監査法人への説明を行う必要があります。

特に、財務諸表監査で不備が発見される場合には、監査報告書の日付までに十分な時間が残されていないことも多く、短期間での整理・判断・説明が求められる点が実務上の難しさとなります。

今回は、期末に不備が残った場合の重要性判定、是正状況の確認、財務諸表監査で発見された不備への対応について、Podcastで詳しく解説しています。

上記のプレーヤーからお聴きいただけます。

次回について

今回で、「広義の内部統制の不備とJ-SOX評価での取り扱い」シリーズは終了となります。次回からは、新しいシリーズの解説を進めます